建設業特有の経理の難しさ
建設業の一人親方は、他の業種と比べて経理が複雑です:
難しさ1:現場ごとに収支がバラバラ
- A現場:材料費50万円、売上100万円 → 利益50万円
- B現場:材料費80万円、売上90万円 → 利益10万円
- どの現場が儲かっているか、わからない
難しさ2:材料費と工具費の区別
- 材料費:その現場だけで使う(木材、セメントなど)
- 工具費:長期間使う(電動ドリル、脚立など)
- 混同すると、確定申告で経費の計上方法を間違える
難しさ3:外注費の処理
- 一人では手が足りない → 他の職人に外注
- 外注先がインボイス登録しているか確認が必要
- 支払調書の作成(年間50万円超の場合)
コツ1:現場ごとに領収書を分ける
NG例: すべての領収書を1つの封筒に
OK例: 現場ごとにクリアファイルを用意
💡 実践例
クリアファイルに「〇〇邸リフォーム(2024年4月)」とマジックで書く。この現場で使った領収書はすべてこのファイルに入れる。
メリット:
- 現場ごとの利益率がわかる
- 赤字の現場を見つけて、次回から改善できる
- 税理士に渡すときも整理されていて楽
コツ2:材料費と工具費を区別する
| 費用 | 材料費 | 工具費(減価償却資産) |
|---|---|---|
| 定義 | その現場だけで使う | 複数の現場で長期間使う |
| 具体例 | 木材、セメント、ネジ | 電動ドリル、脚立、軽トラ |
| 経費計上 | 購入年に全額経費 | 数年に分けて経費(減価償却) |
| 注意点 | レシート保存必須 | 10万円以上は減価償却 |
よくある間違い: 10万円の電動工具を「材料費」として全額経費計上 → 税務調査で指摘される
コツ3:外注費は請求書を必ず保存
一人親方が他の職人に外注した場合:
- 請求書を発行してもらう: 金額、日付、インボイス番号を記載
- インボイス番号を確認: 国税庁サイトで照合
- 支払調書の作成: 年間50万円を超える外注先には支払調書を提出
⚠️ 注意
外注先がインボイス登録していない場合、2029年10月以降は仕入税額控除が受けられなくなります。事前に確認しましょう。
コツ4:月末締めのルールを作る
「確定申告の時期にまとめてやる」は失敗のもと。月末締めのルールを作りましょう:
毎月末にやること:
- 領収書を現場ごとに分類(30分)
- Excelに売上・経費を入力(30分)
- 通帳の残高と照合(10分)
メリット:
- 確定申告が楽になる(1月〜3月に焦らない)
- 毎月の利益がわかる → 資金繰り改善
- 税理士への依頼がスムーズ
コツ5:税理士に丸投げする準備
税理士に丸投げする場合でも、以下の準備が必要です:
- 領収書: 月ごとに封筒に入れる
- 通帳コピー: 事業用口座の記帳
- 売上台帳: 請求書の控えまたはExcel
税理士費用の目安:
- 年間売上500万円以下:月額5,000円〜10,000円
- 年間売上500万円〜1,000万円:月額10,000円〜15,000円
- 確定申告のみ:50,000円〜100,000円
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建設業の経理は複雑ですが、5つのコツを実践すれば、確定申告の負担が大幅に軽減されます。